大麦パン技術論文第2報

2024年2月16日
週一日だけのパンの製造・販売を行いながら、高β-グルカン大麦混合パンの
膨化性向上技術について、個人研究として2018年初頭から取り組んできました。

本研究課題の前半部分,”大麦パンの膨化性阻害因子を明らかにすること”については
2022/11/15,発刊の日本食品科学工学会誌 69巻11号 page 529-540 に掲載されました。
「製粉法および品種の異なる大麦の粉体特性と組成が大麦パンの膨化特性に及ぼす影響」
本研究課題の後半部分,”大麦パンの膨化性向上技術”については、今月号の
2024/02/15,発刊,日本食品科学工学会誌 71巻2号 page 51-63 に掲載されました。
「酵素添加が大麦パンの膨化性および食物繊維組成に及ぼす影響」

酵素添加が大麦パンの膨化性向上に寄与することは既に報告されていますが、同時に
健康機能性成分である食物繊維,特にβ-グルカンの低分子化・分解が懸念されます。

本研究の目的は、食物繊維,特にβ-グルカンの低分子化を最小限に抑制しつつ、
優れた膨化性改善効果を示す最適解を見出すことにありますが、その一つの解として
”微量な食物繊維分解酵素を用いて大麦粉だけを前処理する方法”を報告しています。

今回の研究結果をアンリエットでは実用化し,高β-グルカン大麦品種キラリモチを用い
大麦配合比率の上限10-15%を20%に引き上げ、さらに小麦全粒粉を20%に加えました。
大麦β-グルカンの水溶性食物繊維と小麦全粒粉アラビノキシランの不溶性食物繊維の
複合添加による腸内発酵効果が期待されます。

2023年から小麦食パンと同等価格で製造販売し、お客様からの高い支持を頂いています。
また派生商品として「松の実とクコの実,12種の雑穀粒入り薬膳大麦丸パン」も販売
しています。食事パンとして、ご飯の代わりにお勧めします。

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