あるパン屋の独り言(2)ムカつきを感じるパン
パン屋ですが、いつも自宅にパンがある訳ではありません。自宅用のパンが無い場合は、スーパーのパン売り場で健康そうなパンを買います。私達夫婦は普通に食べることができます。娘の家族にもパンを分けるのですが、売り切れてしまって渡すパンがないことがよくあります。その場合は娘もスーパーで健康そうなパンを買うそうです。
ところが娘から「ちゃんとお金を払って買うから、毎週、パンを予約したい。」という申し出がありました。不思議に思いその理由を尋ねると、「やはりスーパーで買ったパンを食べると、その後でムカムカして気分が悪くなる。」というのです。確かにスーパーで買う大手製パン会社のパン袋の裏に記載されている原材料名には、20~30種類の原材料名が書かれており、その中には厚労省で使用許可の出ている各種の食品添加物があります。気になるのが、『イーストフード』と『乳化剤』です。これらの食品添加物は安全性の確認試験がされており、一般健常人が一生、大量に口にしても大丈夫なそうです。
ただ娘が訴えることも事実です。食品添加物(イーストフード)のうち、焼成カルシウム以外はすべて化学工場で作られた合成化合物です。健常な人は体内で無害化し排出できたとしてもその生理的処理機能が弱い人は『ムカムカする』といった危険信号を体内から発するのではないでしょうか。
パンに使用されている各種食品添加物は、美味しそうなフワフワしたパンを作り、賞味期限を長くできるなど多くのメリットがあります。ただその影響を受けてしまう生理的に体内処理機能の弱い人には、『体内に入れるな』という危険信号を『ムカムカする』といった形で発しているのではないでしょうか。さらに気になることは、子供たちへの影響です。アメリカではもう何年も前から「トランス脂肪酸(ショートニング)」の使用が禁止されていますが、日本では使用が認められています。
アンリエットでは「トランス脂肪酸(ショートニング)」をパン生地に使用することはありません。「トランス脂肪酸(ショートニング)」を使用したスプレッド(塗り物)の使用も極力控えています。ただ半年ほど前にショートニングを使用した『ピスタチオスプレッド』をパンに塗ってお出ししたことがあります。説明カードには赤字でショートニング使用と明記したのですが、罪悪感を感じました。あるお客様は、そのパンの予約を取り消しました。
アンリエットのパン生地には、「卵・乳製品不使用』と謳っています(時たまバターを使用したパン生地「ピーナツバターパン」を出しますが、赤字で明記しています)。そのため販売当日から翌日までは柔らかいのですが、その後は徐々に硬くなりパサパサ感が出てきます。使用する原材料は6種類,国産小麦粉,塩,砂糖,太白ごま油,あこ培養酵母と自家培養酵母で焼いています(マイルド低糖質パンは非小麦粉材料で作っていますので、アーモンドパウダーや大豆粉,グルテンを使用)。いつもこのような作り方で良いのかと自問自答しながら、パンと向き合っています。
このことは3か月ほど前に娘から言われたことで、ブログに掲載するかどうかずっと迷っていたのですが、紹介させて頂くことにしました。世界人口の増加に伴う食料不足への危機,世界の穀倉地帯といわれる深刻なウクライナ危機なども大事なことですが・・・・・。今、自分にできることを実行するようにしています。