小さなパン屋の独り言(1)将来の夢
10月から週一日だけですが、毎週の営業に緩和しました。コロナ禍前は週二日でしたので、暇ができるかなと思っていたのですが、まったく逆で忙しさは変わりません。どうしてなのか考えると、時間に余裕ができた分だけ、仕込み材料(自家製酵母起こし)やフィリング材料(クリームやジャム)の手作りアイテムがどんどん増えてきました。週一日だけの営業だからこそできることは、『こだわりの材料を吟味したパン作り』ということに納得しているところです。【ただこれらのことは全て私一人ではできません。妻には過大な負担をかけています。これからはもっと妻のペースに合わせて、パンを焼く量を決めていかなければなりません。】
こだわりの蕎麦屋さんが片田舎でソバ畑を耕し、ソバの実を石臼で粉にして、その粉で蕎麦を打つ。そのようなことをパンの世界で少しづつ広げていっています。小麦や大麦、ライ麦などは日本国内で優れた栽培者(農業経営者)がいらっしゃいますのでそちらはお任せして、アンリエットの場合はパン作りの中でも、最も重要な発酵工程とパンをおいしく焼く最後の工程(焼成)の薪石窯を極めていきたいと考えています。
現在は、健康パン分野の次期主力商品と位置付けている『大麦パン』の学会誌論文を四苦八苦して執筆しているところですが、これを何とか仕上げて、次の夢に向かって新たな歩みを進めていきたいと考えています。薪石窯は火を起こします。ウィルスは熱に弱いのでコロナ対策としても万全です。薪石窯を建設するところからスタートします。理論と経験の両輪で身に着けた発酵技術で発酵させたパン生地を手作りの薪石窯で焼いて、アンリエットのお客様へ召し上がって頂くことが次の目標です。【因みに私の経歴として、20歳代の時期にある鉄鋼業の新鋭製鉄所厚板工場で、加熱炉担当スタッフをしていました。燃料原単位で世界一の記録を出し、現場の仲間と一緒に社長賞を頂いたことがありますので、”焼く”ことがとても好きです。やきもちは焼きません。】
その頃には老いが進み、もう多くのパンを焼くことができなくなりますので、家の片隅でひっそりと焼く”さらに小さなパン屋”となり、お客様もこれまでアンリエットを助けて頂いた方々だけを対象とした『会員制のパン屋』に変貌していくのではないかと予想しています。そうするともう商売というよりも、趣味の世界でパンを焼いていることになりそうです。庭の片隅でひっそりと”ああでもない、こうでもない、と悩みながら、考えながら、たまにびっくりするようなおいしいパンが焼けた時の喜びを求めてパン焼きの日々を過ごす。”そんな日々を過ごすことができれば、これ以上の幸せはないと思います。【これは夢です。現実には、”老い”が訪れ、25㎏袋の小麦粉が持てなくなり、眼も見えなくなり、いろいろな内科的な疾患も発症することが十分に予想されます。そのようなことも覚悟した上で、妻の言い分も受け入れ、残りの人生を”ああ、おもしろかった”と笑いながら旅立てることができるようにと日々、祈りながら過ごしています。】
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