イヌリンブレッド
腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう;善玉菌や悪玉菌といわれる腸内細菌の種類やその割合をいう)の改善には,悪玉菌の代表格ウェルシュ菌を減らし、善玉菌の代表格ビフィズス菌を増やすことがとても重要です。ヨーグルトでお馴染みのビフィズス菌は腸内環境を整える上でとても大切な腸内細菌ですが、元気に育ち仲間を増やしてもらうためには、ビフィズス菌へもしっかりとお食事(餌)を与える必要があります。その餌となるのが、最近話題の”水溶性食物繊維”,β-グルカンやイヌリンなのです。
アンリエットでも水溶性食物繊維はβ-グルカンを中心に、成人向けの食後血糖上昇抑制(血糖値スパイク)を改善する期待効果を狙い、健康パンへの利用を検討してきました。ところがもう一方の水溶性食物繊維であるイヌリンは乳幼児の腸内細菌層の健全な育成(ビフィズス菌の繁殖)に伴う便秘改善効果もあることを知り、”目から鱗が落ちる”驚きを感じています。ただ乳幼児にあまりたくさん与え過ぎると、お腹が緩くなり過ぎ下痢症状を起こすことも考えられますので、イヌリンブレッドを試作する場合にはその添加率を慎重に検討する必要があります。
製パン試験~試食試験,各種調査結果から、パンの場合にはイヌリン含有量として、5~10g/個(枚)程度が適量ということがわかってきました。今後、皆様のお声をお聞きしながら商品化を進めていきたいと思います。近日中に試験販売を行いますので、召上がった後の口当たり/食べにくさの感想やお腹(便通)の調子をお聞かせ頂ければと思います。新型コロナウィルス感染予防のためご自宅で巣ごもりをしていると、運動不足で便秘になりやすくなります。便秘解消に少しでも役立てればとの思いで、イヌリンブレッドをご紹介しました。
”水溶性食物繊維”について覚えていますか?そうです。大麦に含まれるβ-グルカンが代表的な水溶性食物繊維の一つなのですが、イヌリンもビフィズス菌の餌となる大事な”水溶性食物繊維”なのです。日本で知られているイヌリンの多い食材は”菊芋”ですが、ちょっと風味に癖があり、パウダーは高価な食品(サプリメント)として販売されています。世界的にみると化学的に合成される”合成イヌリン”と天然素材から抽出される”天然イヌリン”に大別されます。腸内細菌の餌としては天然イヌリンのほうがより有効なようです。天然素材の代表格は、チコリ(大根のような形のキク科の野菜)とアガベ(サボテンのような多肉植物でテキーラの原料)の2種類があります。
EU(欧州)では古くからチコリは便秘改善の民間療法として煎じ薬に使われてきました。近年、科学的な研究によって便秘改善効果のメカニズム解明が進められ、現在は健康食品として広く利用されています。何と『欧州ではチコリイヌリンパウダーは赤ん坊に飲ませる粉ミルクにも混ぜられています』。このように安全性が確認され、使用実績や供給能力のあるチコリイヌリンを日本に紹介しているのが帝人㈱で、約1年前からイヌリア®として販売開始をされました。 →https://www.teijin.co.jp/focus/inulia/products/
コメントを残す