大麦パン

なぜアンリエットでは、大麦パンの研究・開発を行っているのですか?

→大麦粉の配合率は同じでも、使用する大麦品種や製粉方法によってパンの膨らみが大きく異なるからです。それはパン職人として自分の腕が未熟なのか?大麦粉にどのような原因があるのか大麦の研究者や一流の製パン技術者やパン職人の方々へお尋ねしても、納得のいく答えを得ることができませんでした。私の出した結論として,自分自身でその答えを導き出すことにしました。パンの製造・販売との二足の草鞋のため6年間の歳月を要しましたが、その間に得た知見や経験,新たな事実のすべてを技術論文として公開することを誓いました。

 

アンリエットでは、『グルテン無添加を前提に大麦粉を20~30%置換した大麦パンを、市販小麦パンと同価格帯で販売できる製造技術の確立』を開発目標に、やっと”食物繊維の豊富なヘルシー大麦パン”として開発・商品化できました。大麦粒子等の電子顕微鏡写真,栄養成分分析や粒度分布測定など高額な試験費用と労力のかかるこれらの試験結果は、貴重なデーターです。学会誌への技術論文投稿と併せて、大麦パンのレシピや製造ノウハウ等を含めてすべての研究成果を公開します。日本のパン屋さんが元気になれる新商品として,”大麦パン”という新しいジャンルのパンが皆様の日々の食卓にのぼることを願っています。

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研究の前半は、大麦パンの膨化性に及ぼす製粉方法と大麦品種の影響について検討しました。
2022年11月15日発行の日本食品科学工学会誌 69巻11号に技術論文として掲載されました。
「製粉法および品種の異なる大麦の粉体特性と組成が大麦パンの膨化特性に及ぼす影響」


研究の後半は、大麦パンの膨化性を向上させる改善技術について検討しました。
2024年2月15日発行の日本食品科学工学会誌 71巻2号に技術論文として掲載されました。
「酵素添加が大麦パンの膨化性および食物繊維組成に及ぼす影響」

 

本研究の目的は、食物繊維,特にβ-グルカンの低分子化を最小限に抑制しつつ、優れた膨化性
改善効果を示す最適解を見出すことにありますが、その一つの解として”微量な食物繊維分解酵素
を用いて大麦粉だけを前処理する方法”を報告しています。今回の研究結果をアンリエットでは
実用化し,高β-グルカン大麦品種キラリモチでは大麦配合比率の上限10-15%を30%に引き上げ、
100%小麦粉食パンと同等価格で製造販売し、お客様からの高い支持を得ています。
もちろんグルテン,その他改良剤は加えていません。


論文投稿にあたり、ご指導・助言を頂いた先生方,研究者の方々へ深く感謝を申し上げます。

<以下、過去の開発経緯を紹介したアーカイブです。現在の内容と変わっている場合があります。>

 

 

 

 

 

 

(大妻女子大学青江誠一郎先生から拝受したセミナー講演資料の一部を改変)

 

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